ミャンマー取材珍道中 ( 平成6年 1994年 )その2
この国で目にしたことしたことは、私たちにとって驚くことばかりでしたが、何よりも、まるでタイムスリップしてしまったのではないか?と思わせるような光景が当たり前のようにどこにでもあるのです。
人々の昔からの伝統的な服装もそうですが、街の中に走る多くの車、特にバスです。これはおそらく20世紀初め、自動車というものが初めて世に出た頃に走っていたと思われる角ばった四角いバスが、黒い排煙を巻き上げて「バリバリ」と轟音をとどろかせて走っているのです。
「ボンネットバス」どころじゃない「博物館級」の自動車が現役で走っているのを目撃し、唖然としている私たちに、また信じられない光景が・・
昔、乗った記憶のある、昭和50年代くらいの「都バス」「私鉄バス」が走っているではありませんか・・・!
「ここはどこ?」「今は何時代?」
頭が混乱しそうです。
あとで知ったことですが、日本政府が人道援助で日本の「お古」バスなんかを送ったそうです。でも、おもしろいのはその車体に書かれている「日本語」をそのままにして使われていることです。
日本の中古車なんかも盛んに走っていて、中には、
「亀田のあられおせんべい」
と書いた営業車が走っていたのには笑ってしまいました。ミャンマーの人には何が書いてあるのかは全く理解していないけど、
「日本車」だぞ!
という看板みたいなもので、大変「トレンディ」なものだということが現地の人の説明で知りました。
この国の主要産業は「農業」です。他の発展途上国でもそうなのですが、「第1次産業国」と「工業国」の違いは物の値段にも表れるのですね。
ふつう日本でコーヒーを注文すれば、ちゃんと挽いた豆のコーヒーが出ますね。ところがミャンマーなど発展途上国ではホテルなどのコーヒーショップのメニューには
・「コーヒー」(いわゆるドリップコーヒー)・「ネスカフェ」(・・?・・)
があるんです。
「ネスカフェ」とはあのインスタントコーヒーです。大概、実際は「ネスカフェ」じゃなくて安物のインスタントコーヒーのようなんですが、
で・・どちらの値段が高いかというと・・・
「ネスカフェ」の方が高いんですね。
ちょっと信じられないことですが、要は、農業国にとって加工されていないコーヒー豆より工場で加工されて作られているインスタントコーヒーの方が高く付く、ということなんですね。
そんなことも社会勉強になったものです。