重たいインド取材撮影の旅 (平成6年 1994年)その1
インドの取材撮影ツアーはこれまでの経験の中で、大変重たい印象が今も心に残っています。
その当時(今もそうかもしれませんが)、インドは取材撮影目的に入国するための「ジャーナリストビザ」の取得が大変難しく、更には取材目的地の一つであるマニプール州という地域はそれとは別に「入境ビザ」も取得しなければいけませんでした。通常入国ビザは外務省だけの判断で発行されますが、「入境ビザ」を取得するためにはインドの外務省・国防省・州政府の3者の許可が必要でした。
ただでさえ、役所仕事の遅いインドです。インド通の人の話では1年待っても発行されないこともあるとのこと。企画スタッフでは2年以上前から準備を進め、早いうちからインド大使館へ話を通していました。
インド大使館では公使が応対してくれて、企画内容に大変良い印象を持ってくれたことは間違いありません。「出来る限りのバックアップをしましょう。」という外交辞令だけではない誠実なご返事をいただいていたのです。
申請書などの必要な書類(もちろん英語)を全て整えて大使館に提出したのが、取材予定時期の1年近く前です。祈るような気持ちでその他の準備を整えていました。確か11月には取材へ行く予定でしたが、9月、10月・・・全く音沙汰がありません。同時に行くことになっていたミャンマーはすでにビザが下りていました。
11月はちょっと難しいだろう、と12月に延期し、できうる限りの手を尽くして大使館にお願いをし、プレッシャーをかけ、情報収集をしました。信頼できる「スジ」からは「もうすぐ下りますよ」という観測を得ていたので、12月にツアーの手配をしました。ところが12月に入ってもまだ返事が来ません。航空券やホテルの手配までしてましたからね。毎日気をもんで待っていました。
そんな時コーディネーターから情報が入ってきました。「どうも外務省はOKを出したらしいので、国防省へ書類がまわっているらしい。もうすぐですよ・・。」なんとなく「そば屋の出前」を催促したときの「あ?今できましたから、もうすぐです・・・」っていう言い訳を聞いている感じでした。(笑)しかしその後1週間経っても返事は来ませんでした。ツアーチケットを2回キャンセルしました。(泣)
大使館の公使の話では、「間違いなく下りるから。先にミャンマーの取材へ行って、その後タイへ入国したら、タイのインド大使館でビザを発給しますよ・・。」というお話しでした。
「本当かな???」スタッフ全員、相当なギモンを持ちつつも、公使のお言葉を信じて飛行機に乗ったのです。
2週間近くのミャンマー取材を終えて、タイへ入国。早速指示通りタイのインド大使館へ行き、手続きをしました。
さあ・・・本当にビザは下りるのかあぁぁぁ???いちおう、ビザらしき書類が出ました。書類の内容がよくわからないので、ここに至ってもまだギモンを感じつつ、インド・デリー行きの飛行機に乗ったのです。